■ 江戸切子の江戸グラヴィールの加工法について

江戸では、吹きガラスの製造が始まったと伝えられますが、その頃には長崎の製造業者
の技術は進み、当時の長崎という文献ではかなり優れたガラスが作られていました。

あるいはその頃当時ではグラヴィールは別にしても、いわゆるギャマン彫りぐらいは加工
されていたかもしれません。

ギャマン彫りは手に持って加工しやすいためか、小型ではあるが、可愛いガラス器に隅々
に見られ、グラヴィール、江戸切子の例は板ガラスを利用したものに多いのが特徴です。

例は少ないが、先の足つきグラスのやや技術の上がったものや、透き素地の美しくなって
きた幕末ごろの器などに見られることからも、やはりギャマン彫りよりは時代がやや下がる
と思われます。江戸の産としては最も古いものに載る文具の一種にも見られます。

■ 江戸切子よりも先に現れた根拠の一つと考えられている。

わが国では、江戸末期までガラス製造技術の未熟もあって、厚手のガラスが出来ません
でした。こんなことからも、薄手のガラスにも加工が可能なグラヴィールが、江戸切子より
も先に現れた根拠の一つと考えられます。

ところで江戸切子がほとんど金棒による加工されたのに対して、江戸期のグラヴィールと
いわれるものは、今日と同様に円盤を使用しており、花切子方式に円盤の上側から加工
したやり方と、グラヴィール技法で加工したと思われるものと両方のものが存在します。

いずれも石盤を使わず、金盤に金剛砂をつけて加工したものらしく、絵模様がはっきりと
浮き出ているところに特徴があります。

元来、手法からすれば、花切子、グラヴィールと分けるべきですが、ともに見分けも困難
なことから、江戸期の切子はグラヴィールに加えられます。

■ 江戸切子は原始的に金棒に金剛砂をつけて加工する

江戸切子では原始的に金棒に金剛砂をつけていますが、グラヴィールではカマボコ山の
円盤を回転されて彫るといいます。変則的で奇妙な方法が江戸期から明治初期までとら
れていました。

一部では、小型の回転盤を利用して加工されたと思われる箇所もありますが、なぜ一般
的な江戸期のカットグラスでは回転盤を用いなかったのでしょうか。

まず江戸時代を通じて銭座で加工されたものでさえ、中央の方に角棒を通して磨いたり、
手やすりで加工していました。

しかも、板硝子状のものに円や曲線を駆使した立体感のある絵を、手やすりで彫ることは
不可能です。そこでこれらの加工には回転盤を利用したのであるが、江戸期に円盤を回
すグラインダー様のものがあったのでしょうか。