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 伝統工芸について

伝統工芸について

伝統工芸という用語は、旅先の土産物店などでよく目にする言葉です。
ここに二つの箱がったとしましょう。中には両方とも切子のグラスが入っています。片方は、江戸切子、もう片方は、海外などで作られたレーザーマシーンカットのグラス。どんなに姿が似ていても、伝統工芸品として売ることができるのは、江戸切子のほうだけです。
日本各地の伝統工芸品には、陶器、漆器、和傘、和ろうそくなど多種多様の品目が含まれ、成り立ちにも、現在の産業形態にも郷土の歴史が大きく関わっています。単なる土産物としてではなく、美術品としての評価が高いものも特徴です。特に海外では、輪島塗をはじめとした漆器をジャパンと呼んで、高く評価しますが、それは技術、企業形態共に、日本の文化の粋を集めたものであるからです。

一言でいうと、伝統工芸品とは、伝統的な技術を用いて制作した工芸品のことですが、伝統工芸品の呼称を得るためには、経済産業大臣の認可を受けなければなりません。
これは、「伝統工芸産業の振興に関する法律(昭和49年)」に定められたもので、認可を受けると、年数億円単位の支援を受けられることになります。また、県指定の伝統工芸品の認可制度もあります。伝統的工芸品とするところもあるようです。
この認可はきちんと条件が決まっています。日常生活で用いられている工芸品であること、手工業的な要素が一定以上の割合あること、原材料や技術が100年以上受け継がれていること、一つの地場産業として成立していることです。
日常的な生活用品ですから、地域も、品目も、多種多様です。焼き物では九谷焼、萩焼、伊万里焼、有田焼などが有名ですし、塗り物では、先ほどあげた輪島塗を筆頭に、鎌倉彫、津軽塗などが有名です。ガラス器では津軽びいどろ、江戸切子が認可を受けています。他に、琉球紅型、加賀の金箔、箱根の寄木細工、山形の天童将棋駒など、その土地の産物を使用した工芸品が、現在も生産されています。
品目数は、京都がトップ。次いで、栃木、福島、島根と続き、江戸切子の東京は7位。企業数は西陣織、京友禅などを抱える京都が、3600社とダントツの一位で、次いで、石川県、東京都となっています。染物の産地では今でも川に反物をさらす姿が見られたりします。
先ほど、認可の条件に手工業的な要素と記しましたが、今では、完全ハンドメイドの品は高価になりました。江戸切子も、鑢を用いたものから、ホイールでの研磨に変わりつつあります。しかし、伝統工芸品の認可を受けるためには、その製品のデザインなどの主要な部分を決めるところは手工業であることが、義務付けられています。工場の形もだいぶ変わりましたが、伝統工芸の根幹は変わっていません。
さらには、若手の作家などが、昔ながらの製法、フルハンドメイドでものつくりをする運動をしているという報道などもあり、創始当時の姿が見直される工芸品も増えています。
 伝統工芸品は、海外の安い大量生産品に押されがちという現状があります。これは、材料である資源が入手困難になりつつあるためと、手作業のため、人件費がかかり、高価になりがちだということに起因しています。また、私たちの生活スタイルが、西洋化、機械化されていくにつれて、昔ながらの製品を使う人が少なくなってきたということもあります。
その反面、よい給料をなげうってでも、物を作る喜びを味わいたいという若手の工芸作家、それを支援するための販路を開く事業者、伝統的な品物に惹かれて、購入する消費者と新たな動きが伝統工芸の中にも起こっています。