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 ガラスの作り方

ガラスの作り方

昔、ガラスは大変な貴重品でした。今のように高温の炉がなかったり、素材が手に入りにくかったりして、金ほどの値段であったこともしばしばです。
古くはギヤマンと呼ばれ、漢字では義山の字をあてられた硝子は、少なくとも2000年前には日本でも焼成されていたといわれています。物質名は二酸化ケイ素。天然では黒曜石や、モルダバイト(テクタイト)として存在しています。これらは結晶を構成せず、割れると断面がギザギザになる特徴を持っています。
工業的には硝子は珪砂と呼ばれるものを主原料に作られます。
商品としてのガラスには、さまざまな種類がありますが、素材としては、ソーダガラスと、鉛ガラスがあります。他に耐熱ガラスなども素材が違うのですが、ここは割愛しましょう。ソーダガラスは窓ガラスなどに使われている一般的なガラスです。叩くと鈍い音がします。対して、鉛ガラスは叩くと軽く澄んだ音がする大変美しいガラスで、酸化鉛を24パーセント以上含むとクリスタルガラスと呼ばれます。オーストリアのスワロフスキー社、フランスのバカラ社などが有名で、その輝きは世界の王族に愛されています。
江戸切子にはこの鉛ガラスとソーダガラスを用いたもの両方がありますが、当初は鉛ガラスであったとされています。薄く黄色みがかった緑色のものだと考えられています。

硝子成形の技法には様々なものがあり、目的も様々です。竿の先で吹き、成形する宙吹き、型に流し込んで成形する型吹き、流し込んだガラスの上から雄型を押し当てて成形する型押し、ガラスの粉末を型に押し込んで焼成するパート・ド・ヴェール法、小さなガラス棒を並べて焼成するモザイクはヴェネツィアンガラスのミルフィオリが有名です。他に、流しかけ、機械による焼成がありますが、ここでは一番基礎的な宙吹きの技法を見てみましょう。

1 原料を調合する。色によって配合が違います。
2 耐火粘度の坩堝に入れ原材料を融解させる。この時温度は1400度以上。
3 溶剤を塗った棒の先にガラスを巻きとり、吹いて成形する。この竿はイタリア語でポンテと呼ばれます。
吹き始めは小さな玉を作り、上からガラスを巻きつけて徐々に大きくしていきます。
冷めないうちに、専用のハサミで、吹き口に近いところに切り離しのためのくぼみを付けます。
その後、水で冷やして切り離し、口を広げるなど、細部の成形をします。形を整えるときは何度も炉の火にあて、その部分を再融解させて行います。竿のあとはバーナーで焼いて消します。
4 約600度の徐冷窯で徐々に冷やします。急激な温度変化は、ひびや破損の原因となるためです。
5 口べりなどを研磨し、水洗い、検品して素地の出来上がりです。
型吹きの場合は、4の行程で型に押し当てて成形します。装飾の技法としてアイスクラックというものが琉球ガラスにはありますが、これは成形の途中で一瞬、水につけることで温度変化によるひび割れを起こし、模様にしたものです。
ベネツィアンガラスなどでは、金箔、銀箔を封じ込めたり、銅の小片を混ぜ込んで、キラキラした効果を出すものもあり、天然石の名を取ってアヴェンツリン効果と呼ばれています。
江戸切子の色被せ硝子にはには青や赤、紫、緑などの色がありますが、原材料にある種の金属を混ぜることにより、化学反応を起こして色を出しているのです。ソーダガラスの一般的な着色料は青=コバルト、銅 赤=セレン、チタン 紫=マンガン 緑=クロムなどがありますが、ガラス素材の違いや、焼成の温度によって同じ原料でも色が変わります。全国のメーカーには独自の配合があり、色の出し方は門外不出となっています。岡山県の倉敷には金で赤色を出した金赤ガラスというものもあります。同じ赤でも江戸切子と薩摩切子、長崎のビイドロでは色が違いますので、比べてみてはいかがでしょう。