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 伝統工芸士とは

伝統工芸士とは

伝統工芸士は伝統的工芸産業振興協会が行う認定試験の合格者です。江戸切子には数多くの伝統工芸士が携わり、蒲田切子など新たなデザインや、伝統の継承を行っています。伝統工芸士の資格は、当初、通商産業大臣の認可を受けていましたが、経済産業大臣の認可を経て、現在は、伝統的工芸品の継承と、振興を目指す、財団法人伝統的工芸品産業振興協会が検定を行っています。
受験資格の基準は厳しく、現在形で伝統工芸に直接従事し、原則12年以上の経験があること(井波彫刻では20年以上の経験が求められる)、産地内で活動していることが求められます。筆記試験もありますが、実情は、面接と実技にウエイトが置かれることになります

江戸切子には多くの伝統工芸士が携わっています。厚生大臣賞を受賞された根本氏、蒲田切子の東亜硝子工業株式会社を営む鍋谷馨氏(ガラスプロデューサー鍋谷孝氏は子息)が代表例ですが、熟練の腕を持つ伝統工芸士が中心になって、産地の振興や、新たなデザインの作成、イベント、後進の育成をしているケースもあり、伝統工芸の継承に大きな役割を担っています。
伝統工芸士の試験は、概ね九月前後に行われます。受験資格は、先述の通り現在その仕事の中核で従事していること、12年以上の経験があること、産地を拠点として活動していることですが、必要な経験は、産地によって様々です。
江戸切子の場合、国の伝統工芸士の認定を受けている方はわずかです。東京カットガラス工業組合のホームページにはには所属されている伝統工芸士の名簿が載っています。ご自分のお気に入りのグラスの作家さんのお名前を探してみるといいでしょう。
また、東京都や、各自治体の認定する伝統工芸士の資格もあります。大田区は大田の工匠、墨田区は墨田マイスターと独自の名前を付けていて、バリエーションに富んでいます。
江戸切子の職人に与えられるとしては、江東区無形文化財、江東区技能優秀者、葛飾区伝統工芸士、東京技能優秀者(東京マイスター)などがあります。東京都の伝統工芸士になるためには、20年の経験が必要です。
また、国からの褒章は、黄綬褒章を受けた方が数名おられます。褒章には、紅、紫、緑、黄色、紺、藍があり、各々受章できる人の基準が違います。黄綬褒章は、「長年業務に精励し、人々の範となったもの」が受けるものです。管轄は内閣府です。
一般の人が伝統工芸士になるには、まず、職人のもとに弟子入りし、経験を積まねばなりません。最近は、カルチャーセンターや、大学、専門学校で伝統工芸を扱う動きもあるので、以前のように、裸一貫で師匠に弟子入りということは少なくなっています。数は少ないですが、インターネットで検索すると、工房の求人情報があることもあります。ただし、下積み時代は長く、他の職種に比べて伝統工芸の初任給は安いので、応募する際は熟考すべきです。まずは工房などでガラス制作の体験をして、むき不向きを見極めてもいいかもしれません。
伝統工芸士は一つの資格ではありますが、これがないと、伝統工芸に携われないというわけではありません。長いことその業種に携わり、業務に打ち込んだ結果、得られる資格の一つです。伝統工芸自体、継承者が少なく、生活の変化によって、品物の良さを理解してくれる消費者との出会い自体、少なくなってきました。そのような中、伝統工芸に携わろうという気概を持つ若者と、それを支えようとする周囲の人々、国や自治体の取り組みは、様々な資格認定や、イベント、購買運動を通じて、地域を支える絆となっています。