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 切子・平物の製作

切子・平物の製作

江戸切子の制作工程には機械を使う工程と、昔ながらの手作業で行う工程が混在します。加賀久が切子の技術を創始した当初は、勿論すべて手作業、手摺りでした。
以前は鑢を使っていたカットの工程も今では、ホイールと呼ばれる回転盤に研磨剤を付けて行うようになりました。鑢を使うと、深さ二ミリ、長さ二センチの直線を摺るのに10分はかかるといいますから大変な根気のいる作業です。機械を使うことで、時間が短縮され、手ごろな価格のものを作れるようになりました。素地の材質も、鉛ガラスから、ソーダガラスなどバラエティに富んだものになっています。
ここでは、グラスなどに使われる切子技法と、トロフィーなどに使われる平面研磨の平物の制作工程を見てみましょう

切子の制作工程

1 割り付け 模様の大体の位置を決めるために横線と縦線をひきます。文様の下絵は描きません。縦線は割り付け機で引きます。
以前は内側に弁柄の溶液で割り付け線を描いていましたが、最近では油性の溶液で外側に描きます。
2 荒ずり 大きな模様や基本線を合成砥石や、ダイヤモンドの粒子を付けた刃で彫ります。文様の深さ、デザインによって、砥石の番号を変えていきます。切子の場合は回転盤の上から器を当てて彫っていきます。ホイールの動力源はモーターです。
昔は出稼ぎの労働者(相撲取りなど)が轆轤引きの手伝いをしていたこともあったそうです。
3 中摺り、或いは三番

更に細かい模様を刃を変えて彫っていきます。合成ダイヤなどの新素材の登場で以前はなかった細かい文様も彫れるようになりました。逆に、鉄製の刃や金剛砂、カーボランダムといった以前使われていた素材は使われなくなっています。

4 研磨
 
木盤、砥石を当てて研磨します。削った線は最初は半透明ですので、研磨することで透明にします。花切子などはケシといって半透明のままです。

酸洗い

クリスタルガラスにのみ行われる行程です。弗化水素酸の化合水溶液に漬け、表面に艶を出します。小物の加工に多く、研磨と同じく切子の線を透明にする働きがあります。

6 検品、出荷
平物の制作

平物は立体に施す切子とは違い、平面に施す彫刻です。トロフィー、メダル、置時計などに使われます。
この平物には金剛砂と呼ばれる研磨剤、主にガーネットの仲間を含んだ砂礫を用いますが、これを細かくふるいにかけ、粗いものと細かいものに仕分ける作業がつきものです。以前は12種類にも分けていたそうですが、今は、精々3,4種類の粗さです。

1 荒摺り

目の粗い金剛砂を金属板の上に流し、その上にガラスの生地を押し当てて研磨します。この時、大体の寸法を決めます。

2 三番掛け

目の細かい金剛砂を使い、ガラスの寸法を整えます。

3 石掛け

天然の砥石を使いさらに表面を滑らかに整えます。

4 磨き

木製の回転盤に押し当て、透明度と艶を出します

5 バフかけ

フェルトなどを使って、表面の曇りを取ります。使われる薬剤は酸化セリウムです。

機械化が進んでも、切子の本質である、手作業の部分は変わっていません。最初の割り付けや荒摺りがしっかりしていないと、切子の線は、曲がったり、水平に入らなくなってしまい、使い物になりません。特に薩摩ガラスは色きせの層が分厚いので回転する刃が見えず、再現は困難を極めたといいます。